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● 年度別の電力供給予備率
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鮮日報 記事入力 : 2011/09/20 10:58:15
http://www.chosunonline.com/news/20110920000037
不足する予備電力、今後5年は大停電リスク
韓国電力取引所の廉明天(ヨム・ミョンチョン)理事長は19日、国会で行われた国政監査で
「過去にも電力の供給余力が100万キロワット以下に低下したことがあった」
と証言した。
以前にも今月15日のような大規模停電が起きる危機があったが、何とか乗り切っていたという説明だ。
知識経済部(省に相当)と電力取引所によると、積極的な需要管理政策がなければ、2015年までに供給予備率(電力供給能力の予備率)が3.7%‐6.6%に低下し、安全ラインの15%をはるかに下回る見通しだ。
今月15日の大規模停電は決して偶発的な事件ではなく、今後5年間は停電リスクの中で生活を余儀なくされそうだ。
供給予備率は、発電所の電力供給能力の余力を指す。
整備中の発電機の発電容量まで含むため、予備率は15‐17%が適正水準とされる。
■でたらめな需給予測
昨年末、知識経済部が発表した第5次長期電力需給計画案は、これまでの電力需要の伸びがこのまま続くと仮定すると、供給予備率が2012年には 4.8%、13年には3.7%に低下すると予測した。
14、15年は6.6%へとやや回復するが、それでも適正水準にははるかに満たない水準だ。
16年には新規発電所の稼働で供給率は10.1%に回復する見通しだ。
韓国では電力の供給予備率が03年の18%をピークに低下を続け、昨年は6.7%、今年は 4.1%となった。
電力供給が不足するのは、電力需要の予測がでたらめだったことに加え、建設予定の発電所を計画通りに建設できなかったり、計画が中止されたりしたためだ。
2006年に韓国政府が発表した第3次電力需給基本計画(06‐20年)は、今年の最大電力需要を6594万キロワットに設定した。
しかし、予測は大きく外れ、今年の最大需要は7313万キロワットだった。
これは、20年時点の需要予測(7180万キロワット)よりも多い。
韓国政府の電力需要予測が外れたのは、予測システムに重大な欠陥があることを意味する。
ある業界関係者は
「政府の計算による電力需要量が実際より少ないことから、電力需要予測プログラムに深刻な問題があると見なさざるを得ない」
と話した。
その上、当初建設予定だった発電所を着工できなかった影響も少なくない。
韓国電力公社によると、5年前の第3次電力需給基本計画に盛り込まれた発電所建設事業のうち、これまでに建設が遅延しているか中止された事業は716万キロワット規模だ。
政府が民間の発電所建設計画の履行状況をしっかり管理しなかった結果だ。
■春秋にも停電懸念
発電能力の不足で、電力難が夏や冬だけでなく、春、秋にも懸念されるとの指摘がある。
発電所は年間30日程度の整備が必要だが、電力需要が逼迫(ひっぱく)する夏、冬を避け、整備作業が春、秋に集中するためだ。
このため、春、秋にも電力需要が少し増大しただけで、停電リスクが生じる。
大規模停電が起きた今月15日には834万キロワット分の発電所が整備に入っていた。
これは電力供給能力の10%を超える量だ。
専門家は現時点で、時間帯別に電力料金に差を付けるなどして、需要を抑制する以外に方法はないと指摘する。
韓国開発研究院(KDI)のイ・スイル博士は
「発電所を建設するといっても4年以上かかるため、今後大規模停電といった事故を防ぐためには、電力需要を減らすしかない」
と語った。
■供給予備率と運転予備率
供給予備率は稼働中の発電所だけでなく、稼動していない発電所の電力供給能力まで含めた供給余力を指す。
運転予備率は発電所で実際に発電した電力に占める供給余力を指す。
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朝鮮日報 記事入力 : 2011/09/20 10:56:29
http://www.chosunonline.com/news/20110920000036
【社説】国家危機管理の穴は電力だけの話か
知識経済部(省に相当)は、今月15日午後に韓国各地で発生した大規模停電の主な責任を、電力取引所の虚偽報告になすりつけようとしている雰囲気だ。
電力取引所が、実際の予備電力は24万キロワットにしかならないのに、稼働していない発電機の発電量まで含めて343万キロワットと報告したために、対応が遅れたという。
しかし、電力取引所によるこうした電力量計算は、昨日今日に始まったことではない。
でたらめなデータを基に組まれた電力対策から改めなければ、電力をめぐる大混乱にまた直面しないとも限らない。
普段は何ともないように見えるが、じっくり観察してみると、国家的災厄につながりかねない分野は、電力だけではない。
今月14日には、航空交通センターのサーバーが57分間正常に稼働せず、仁川・金浦・済州空港を出発する多数の航空便に遅れが生じたが、今もなお原因は分かっていない。
福島第一原子力発電所で発生した爆発事故の後、韓国国内でも原発事業の運営機関と安全性評価機関を分離し、原発が安全かどうかをより客観的に評価するため「原子力安全委員会」を設置するという案が出されたが、まだ発足には至っていない。
農協のコンピューターネットワークがハッキングされて機能がまひし、韓国政府や公共機関・企業・個人の情報が無差別に流出する事件が頻発しているが、電子政府を目指す現政権の情報インフラ安全管理は脆弱(ぜいじゃく)この上ない。
哨戒艦「天安」沈没や延坪島砲撃など北朝鮮の挑発があるたびに、交戦体制の整備や先端装備を駆使して北朝鮮の攻撃に対し万全の備えを期すると確約してきた韓国軍では、対空砲やミサイルの探知レーダーなどが故障したまま放置されているという報告が後を絶たない。
韓国社会のあちこちには、高度経済成長がもたらした数多くの危険要素が潜んでいる。
安全保障分野は言うまでもなく、自然災害や大事故、情報通信・航空・交通といった社会資本(SOC)の崩壊、食品・伝染病など民生分野での事故が、いつ、どのような形で起こるか分からないというのが現実だ。
こうした国家的危機を総合管理するため、2003年に大統領府(青瓦台)に国家危機管理センターを設置したが、この機関は今回の停電について報告すら受けていなかった。
韓国政府は、この機会にあらゆる分野の国家危機を再分類・再点検し、脆弱な部分をあらかじめ補完し、実際の危機の状況で現実に見合った正確なマニュアル(行動規範)を整備し直す必要がある。
形だけの各種災害対処訓練も、実際の状況が起こった場合に役立てられるよう、絶えず模索しながら補完すべきだ。
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朝鮮日報 記事入力 : 2011/09/19 11:30:52
http://www.chosunonline.com/news/20110919000031
韓国軍:パトリオットミサイル用レーダー相次ぎ故障
1兆3600億ウォンをかけて2009年から配備
稼働中断から6カ月
韓国空軍の次期対空ミサイル事業(SAM‐X)計画に基づき、八つある砲台に実戦配備されたパトリオットミサイルシステムのレーダー8台(一つの砲台に1台)のうち、3台が数カ月前から相次いで故障していたことが18日までに分かった。
■韓国軍の防空網を担う主要兵器
パトリオットミサイルは敵の航空機やミサイルを空中で撃墜する地対空ミサイルで、40キロ以上先の目標物や高空での防空を担う韓国軍の防空用主要兵器だ。
韓国軍は2009年、弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃に対応する「韓国型ミサイル防御システム(KAMD)」の計画を取りまとめ、これを実行するため1兆3600億ウォン(約938億円)以上の予算を投じ、八つの砲台にパトリオットミサイルを実戦配備した。
一つの砲台には六つの発射台と1台のレーダーが設置されている。
元国防部(省に相当)長官で与党ハンナラ党の金章洙(キム・ジャンス)議員によると、パトリオットミサイルを発射するには標的を追跡するレーダーが8台必要となるが、そのうち1台は今年3月にパワーサプライ(電源)が、別の1台は4月にコンプレッサーが、もう1台は敵味方を識別するIFFカードと周波数発生器が故障し、現在稼働がストップしているという。
また軍は当初、ドイツから購入する予定だった3万2149種の修理用付属品のうち、7月までに確保できたのは全体の10%に当たる3142種にとどまっているとのことだ。
専用のレーダーが長期にわたり故障したり、整備が必要となった場合に備えた代替用の機器(MF)もまったくない状況だ。
中距離ホークミサイル用レーダーの場合、MFの保有率は10%前後を維持している。
この問題について、空軍は
「来年初めごろの戦力化を目標に、現在は制限的に稼働している。
そのため問題が発生する可能性はある。
ただし、故障した部品は年末までに輸入できる見通しのため、来年の戦力化に問題はないだろう」
と説明している。
しかし、金章洙議員の事務所の関係者は
「空軍は2009年4 月に砲台の戦力化が完了したと発表し、その後も、合同参謀本部によって戦闘準備維持体制の確認作業が行われている。
それにも関わらず戦力化が完了していないのなら、合同参謀本部は戦闘準備維持体制を見直す必要がある」
と指摘した。
■レーダーの相次ぐ故障
空軍は1980年代半ばから次期対空ミサイル(SAM‐X)事業としてパトリオットミサイルの導入を進めてきたが、予算の問題で先送りされた。
その後、紆余(うよ)曲折を経てドイツ軍が使用していた中古のパトリオットミサイルを2006年に導入した。
しかし、発射台とミサイルは迎撃能力が制限されたPAC2とGEM+型を、地上の操作機器は米国製の新型PAC3を導入したため、まさにつぎはぎ式の配備といえる。
これにより予算は1兆ウォン(現在のレートで約690億円)ほど節約できたが、さまざまな問題が表面化した。
専門家は今回の故障についても、このつぎはぎ式の配備が原因で起こった可能性があると指摘している。
また、韓国軍が北朝鮮の長射程砲による奇襲攻撃を受けた際、敵の発射台を攻撃するための対砲兵レーダーの故障も相次いでいることから、韓国の国防体制において敵を監視する「目」に相当するレーダーシステムに問題があるのではないかとの指摘もある。
過去5年間で韓国軍が保有する旧型の対砲兵レーダー TPQ‐36は98回、TPQ‐37は60回にわたり故障している。
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鮮日報 記事入力 : 2011/09/17 12:05:20
http://www.chosunonline.com/news/20110917000034
守られないマニュアル、繰り返される人災
韓国全土を大混乱に陥れた15日の大規模な停電は、マニュアルを無視した韓国電力取引所の送電中止措置が原因だった。
過去に数多くの人命を奪った大小さまざまな人災の裏側には、こうしたマニュアルを無視する風潮が存在する。
■マニュアル無視で被害拡大
今年7月に16人の死者を出したソウル市瑞草区牛眠山の山崩れでも、危機対応マニュアルが守られていなかった。
山林庁の「山崩れ危険地管理システム」によると、連続して100‐200ミリ以上の大雨が降った場合、山林庁から自治体の担当職員の連絡網に山崩れの注意を促すメッセージが自動発信される。
各自治体はそれを基に状況を判断し、予報発令などを通じ、山崩れの危険性を住民に周知することになっている。
しかし、瑞草区庁の担当職員は連絡網を5 年間更新しておらず、山林庁からのメッセージを受信できなかった。
192人が死亡した2003年の大邱地下鉄火災でも、危機対応指針が守られずに被害が拡大したケースだ。
火災は50代の男の放火が原因だったが、電車の運転士は総合指令室に報告しなかった。
その後、駅職員から報告を受けた総合指令室は、火災が起きた中央路駅に進入する別の電車の運転士に
「駅構内で火災が発生したため、注意して運転するように」
と伝えた。
大邱地下鉄公社の「総合安全防災管理計画書」によると、駅構内の火災発生時には、進入列車は通過しなければならないという規定があったが守られず、その列車は火の中に飛び込む形となり、多くの乗客が犠牲となった。
1994年に32人の死者を出した聖水大橋崩壊事故も、当局が安全管理マニュアルを無視したことが決定的な原因だった。
聖水大橋は通行時の最大荷重18トンで設計されていたが、ソウル市は18トン以上の車両の通行を禁止する措置を怠っていた。
さらに、93年4月にソウル市は傘下の東部事業所から「点検の結果、聖水大橋に崩壊の危険性がある」との報告を受けていたにもかかわらず、それを黙殺していた。
■国防・安全保障分野でも問題
マニュアルを無視する風潮は、国防・安全保障分野も例外ではない。
昨年3月26日に起きた天安爆沈事件で、哨戒艦天安は北朝鮮と接する海域で、北朝鮮の潜水艇による魚雷攻撃を警戒し、12ノット(時速22キロ)以上の速度で航行しなければならなかった。
だが当時、天安はこの規定を守らず6.3ノット(時速11.7キロ)の低速で移動していたところ、魚雷攻撃を受け沈没した。
5カ月後の昨年8月9日、北朝鮮はペンニョン島、延坪島に近い西海(黄海)上の北方限界線(NLL)付近に約130発の砲撃を加え、うち10発余りがNLLの南側に着弾した。
交戦規則によると、「比例」と「充足性」の原則に従い、韓国側もNLLの北側に応射しなければならなかった。
こうした生ぬるい対応が、同年11月に延坪島に砲撃が加えられるというさらなる挑発行為を生む結果を招いたと批判されている。
■南大門火災も
2008年2月に起きた崇礼門(南大門)焼失事件をめぐっても、危機管理マニュアルの問題点が浮き彫りとなった。
当時、文化財庁が作成した「文化財別火災危機対応現場措置マニュアル」には、文化財で火災が起きた場合の消火方法に関する具体的な説明が記載されていなかった。
当時消防官は消火作業に当たりながら「壊してはならない」と考えて右往左往した。
この事件が原因で文化財庁長を辞任した兪弘濬(ユ・ホンジュン)明知大教授は
「木造建築物の屋根に延焼した場合には、まず瓦をはがして消火作業を行わなければならないが、文化財との理由から、消防官は瓦を壊すことができなかった」
と指摘した。
■マニュアル通りに訓練を
今年初めに家畜伝染病の口蹄(こうてい)疫が流行し、牛や豚の殺処分が行われた過程でも、地方自治体がマニュアルを守らなかったことが問題化した。
マニュアルには、穴を掘った後、ビニールを敷き、死がいの腹部を切開した状態で埋め、土で覆うことになっていたが、豚の場合は、マニュアルがほとんど守られなかった。
大田大消防防災学校の朴忠和(パク・チュンファ)教授は
「現在韓国の災害対応マニュアルは役に立っていないケースが多い。
マニュアルを作成しても、訓練を行わないため、今回の停電のように実際に事が起きてから慌ててしまい、被害を拡大させる事態を招いている」
と指摘した。
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以前、東日本大震災のときはあまりに日本がマニュアル通りに動くので
「マニュアル社会」
と侮蔑を投げたのが韓国新聞であった。
そのマニュアル重視の姿勢が援助や救援を遅らせていると非難されたものである。
その韓国がいま、「マニュアル化されていない」「マニュアルが守られない」と嘆いている。
時は日をさしたり、影を作ったりするものである。
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2011年09月21日16時13分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/954/143954.html?servcode=100§code=120
【噴水台】マニュアル社会
「FM通りにしろ」という時のFMとは、軍隊用語Field Manual(野戦教範)の略字だ。
この言葉の元祖格はローマ軍。
共和政後期まで市民軍体制を維持したローマは、毎年変わる軍人を統率するため精巧な教範をまとめた。
戦争に敗れたとして処罰することはなかったが、マニュアルに従わない行動は徹底的に処罰した。
建国初期、羊飼いの群れにすぎなかったローマ人が強力な周辺民族を征服できた原動力だ。
現存する代表的マニュアル社会は日本だ。
大規模な地震など自然災害への対処方法を構築している。
企業に取り入れられたマニュアル風土は高度経済成長を率いた筆頭の功臣に挙げられる。
半面、盲信による官僚主義の弊害も少なくない。
今年の東日本大地震当時、世界各国から救護物資が入ったが、どう処理すればよいのかマニュアルがないため、迅速に伝えることができなかった。
海水をくみ上げて原子炉を冷却させることもマニュアルになく、時間がかかって災いを呼んだ。
マニュアル執着は人間を機械と誤判させる。
チョン・ソクスンの小説『チョルス使用説明書』は一つの電子製品マニュアルとともに例示されるチョルスの人生を風刺している。
扇風機・冷蔵庫のように扱われる人間に創造的な生活が可能であるはずがない。
東日本大地震当時、東京ディズニーのアルバイトは臨機応変に子どもを慰め、‘守護天使’対応で話題になった。
2日に一回の割合で災害防止教育を受けたアルバイトが胸に刻んだ言葉は
「マニュアルに執着するな」
だった。
9月15日に大規模停電を招いた電力取引所の非常措置をめぐり甲論乙駁している。
「先に措置、後に報告」がマニュアルを無視した過剰措置だったのか、旧式マニュアルに対応した避けられない選択だったのかだ。
マニュアルが機械教本でないのなら現場で裁量を発揮できる。
ただ、毎年更新したというマニュアルがなぜまだ旧式なのか、マニュアル上に放送やインターネット、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などを通した対国民通報はどの段階に含まれているのか気になる。
23カ所の発電所が稼働を中断していることを国民が知っているはずもないのに、節電しなかったという表情を見せるのもあきれる。
いっそのこと残暑にエアコンをつけてもよいのかどうかを「エジョンナム」(KBS2「ギャグコンサート」のコーナー「あいまいなことを決めてくれる男性」)に尋ねてみるのが楽かもしれない。
「秋夕(チュソク、中秋)が過ぎれば30度を超えてもエアコンをつけはいけないよ。
守らなかったからといって手錠をかけるわけではないが、私たち同士で決めたことだから」
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自前のマニュアルが作れるか、
苦しくともそのマニュアルを自分たちで守るだけの努力ができるか。
非常時に勝手に自己判断で動くと、とんでもない騒動になってしまう。
多少のマイナス面はあっても、ルールは守ったほうがいい。
最後にはそれが自分を救ってくれる。
マニュアルを勝手に破棄してしまったら、どうなるか、それを考えるだけでも恐ろしい災害はこれからも山のように降りかかってくる。
それが人間社会というものだろう。
「守らなかったからといって手錠をかけるわけではないのだから、
私たち同士で決めたことだから、過度にマニュアルに執着してはいけないよ」
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