2011年9月24日土曜日

安すぎる電気料金

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朝鮮日報 記事入力 : 2011/09/24 14:00:42

安すぎる電気料金,OECD加盟国では最も安い

 釜山市東区の子城台コンテナ埠頭は2008年、コンテナ運搬用クレーンの燃料を軽油から電気に変更した。
 軽油を使うクレーンからエンジンと発電機を取り外し、変圧器を設置する作業のため、クレーン1台当たり3億6000万ウォン(約2360万円)の費用がかかったという。
 しかし軽油の使用を取りやめることで、毎年2億ウォン(約1300万円)近くかかっていた燃料費は、10分の1の2000万ウォン(約130万円)へと大幅に削減することができた。

 忠清北道陰城でイチゴのハウス栽培を手掛けるキム・サンジンさん(56)は、昨年春にハウスのボイラーを重油式から電気式に交換した。
 交換するのに1500万ウォン(約98万円)の費用がかかったが、その半分は農協から支援を受けることができた。
 それでもボイラーの交換にはまとまった資金が必要だったが、3年から4年後には十分に取り戻すことができるため、キムさんは満足していた。
 重油を燃料として使った場合、燃料費だけで1カ月80万ウォン(約5万3000円)から90万ウォン(5万9000円)はかかる。
 しかし電気ボイラーの場合、1カ月60万ウォン(約3万9000円)で済むため、毎月20万ウォン(約1万3000円)から30万ウォン(約1万9000円)ほどは節約できる。
 1年間では250万ウォン(約16万4000円)の削減になる。

 電気料金が発電にかかる費用以下の低価格に抑えられている実態は、電気の無駄遣いをあおり、長期的には韓国のエネルギー需給に大きなひずみをもたらしている。
 今月15日の停電騒動も、結局は低価格の電気料金が電気機器の急増をもたらし、それによって電力消費の急増と供給不足という悪循環によって発生したものだ。
 中でも注目すべきは、本来なら軽油やガソリン、重油などを使用すべき状況でも、あえて電気を使うケースが相次いでいることだ。
 このような現状を見直すには、電気料金を最低でも発電に必要な原価のレベルにまで引き上げる以外にない。
 これは専門家の一致した見方だ。

■先進国では最も安い電気料金

 韓国の電気料金は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も安い。
 それも、圧倒的な安さだ。
 昨年の韓国の住宅用電気料金は、キロワット時当たり0.083ドル(約6.4円)で、これはOECD加盟国の平均0.156ドル(約11.9円)のおよそ半分だ。
 また、商業用の電気料金はキロワット時当たり0.058ドル(約4.4円)で、日本の0.154ドル(約11.8円)に比べおよそ3分の1だ。
 東日本巨大地震の影響で電力不足に悩む日本メーカーの間で、韓国に工場を移転する動きが出ているのも、韓国の電気料金が非常に安いことが、大きな理由の一つだ。

 韓国の電気料金は、発電にかかる費用(生産原価)に比べてどれくらい安いのだろうか。
 生産原価を100ウォン(約6.5円)と仮定すると、平均90ウォン(約5.9円)だ。
 このように電気料金が原価割れしている国は、OECD加盟国のうち韓国だけだ。

 さらに大きな問題は、軽油や石炭を利用して作られた電力の効率は、実際に軽油や石炭を使用した場合のわずか半分にとどまっているという点だ。
 つまり安く電気を使うことで、電気以外のエネルギーが2倍以上も浪費されているわけだ。

 これまであれこれ理由をつけて電気料金を抑制し、今では非常識というレベルに至ってしまったのは厳然たる事実だ。
 1982年以降、物価は240%上昇したのに対し、電気料金は18.5%しか上がっていない。
 物価上昇率から計算すれば、電気料金)は30年前の40%のレベルでしかない。
 1984年以降、路線バスの運賃は7.5倍、地下鉄の初乗り運賃は4.5倍に上昇し、また外食メニューのうち比較的上げ幅が小さいジャージャー麺も11倍に値上がりした。
 ところが電気料金はわずか1.5倍の上昇にとどまっている。

■原価のレベルにまで引き上げるべき

 2001年以降、灯油価格は125.7%、軽油価格は172.2%上昇した。
 このように燃料費はわずか10年ほどの間に2倍近く値上がりしたが、電気代だけはわずか8.8%の上昇にとどまっている、というおかしな現象が続いている。
 このままでは誰もが油ではなく、電気を使うようになるのは当然のことだ。

 昨年の冬、暖房用の電気温風器や電気ストーブは760万台売れた。
 これは2世帯中1世帯が購入した計算になる。
 新しい高級マンションでは最初からガスコンロではなくIHクッキングヒーターが設置されている。
 そのため最近は「世界で電気を暖房用に使うのは韓国だけ」という冗談めいた声も聞かれる。
 韓国の電気使用率はここ10年、OECD加盟国の中で2番目に高い。

 企業の生産にかかる費用の中で電気料金が占める割合も当然、下がり続けている。
 これは企業の規模が大きくなるほど顕著だが、韓国の大企業は、すでに安い電気料金に頼らなくてもよいほど成長した。
 そのため
 「電気料金を最低でも生産原価のレベルにまで引き上げるべき」
という主張も説得力を増している。
 エネルギー経済研究院エネルギー需給研究室のパク・クァンス室長は
 「投資にメンテナンス費用まで考えると、電気料金を最低でも生産原価の105%までは引き上げなければならない。
 物価の問題を考慮しても、原価の100%ほどまではすぐにでも引き上げるべきだ」
と主張する。
 エネルギー経済研究院によると、電気料金が10%上がれば、年間の電力消費は4%ほど減る。
 電力量に換算すると年間190億キロワットだ。
 金額にすると1兆4800億ウォン(約970億円)の節約になり、これは、100万キロワット規模の原発用原子炉2.5基分をストップさせることができる計算になる。

 産業用電気料金の抑制はこれまで、輸出の拡大という大義名分の下で容認されてきた。
 これは事実上の補助金だ。
 しかし、このような形でいびつになったエネルギー市場も、今や限界に達している。
 電気研究院スマートグリッド研究センターのムン・ヨンファン・センター長は
 「家庭や企業が安い電力の恩恵を受ける一方で、国全体としてはエネルギー市場で深刻なひずみが生じている」
と指摘する。

■ワットとワット時

 ワットは、単位時間当たりに供給される電気エネルギーの電力を示す単位のこと。
 発電所での電力生産能力もワットで示される。
 ワット時は、家庭や産業現場で使用される電力量を意味し、電力に使用時間を掛ければ電力量となる。
 水道に例えた場合、ワットは水道管の容量、ワット時は水道管を通じて一定時間の間に流れる水の量を意味することになる。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/09/24 14:01:46


韓国の産業用電気料金はなぜ安いのか
輸出競争力の強化を名目にした特別待遇
「産業用電気料金の現実化を」との指摘も

 韓国の電気料金は、家庭用・一般用(商業用)・産業用・教育用・農業用・街灯・深夜用という七つの料金体系に分けられている。
 家庭用・商業用に比べほかの分野の電気料金を安くして、恩恵を与える構造になっている。
 電力需給が限界ギリギリのライン上にある中、最も問題になっているのは産業用の電気料金だ。
 韓国政府は1960‐70年代から、産業用電気料金をほかの用途(家庭用・商業用)に比べ安くしてきた。
 企業の原価負担を減らすことで、国内の物価を安定させ、輸出競争力を強化するというのが名分だった。
 しかしこうした名分は、今や限界に突き当たっているという指摘が多い。
 安い産業用電気料金の恩恵が少数の大企業に集中している、という指摘が少なくないからだ。

 ハンナラ党の金在庚(キム・ジェギョン)議員は最近、国政監査で
 「サムスン電子や現代自動車など大企業30社が、電気の生産原価相当の料金を払うとしたら、最近3年間で追加で支払うべき金額は2兆9500億ウォン(現在のレートで約1924億円、以下同じ)にもなる」
と語った。
 例えば、ポスコが昨年納付した電気料金は2576億ウォン(約168億円)だった。
 もしこれを日本の産業用電気料金制度に沿う形で納付した場合、ポストは6851億ウォン(約447億円)を支払わなければならなかった。
 産業用電気料金を国際比較すると、韓国企業はかなり恩恵を受けており、電気を多く使う大企業ほどその恩恵が大きいというわけだ。

 特に最近、韓国の大企業各社は巨額の利益を上げているが、その効果が中小企業や自営業に波及しておらず、うまく循環してないという指摘が多い。

 市民団体「エネルギー正義行動」のイ・ホンソク代表は
 「今や、社会のバランスという観点から、家庭用・商業用よりも産業用電気料金の現実化を優先して進めなければならない」
と主張した。

 もちろん韓国政府も、ひとまず産業用電気料金を引き上げる方向で電気料金体系の再編を考えている。
 過去10年間で、産業用電気料金を9回に分けて51.2%引き上げた。
 同じ期間の家庭用(4.1%)、一般商業用(6.6%)に比べ大幅な値上げだ。
 しかし昨年基準で見ると、産業用電気料金は1キロワット当たり76.6ウォン(約4.99円)で、同119.8ウォン(約7.81円)の家庭用に比べ依然として安い。

 産業用電気料金をさらに引き上げるとしても、企業の規模別に差を付けなければならない、という主張も多い。
 中小企業研究院のチョ・ヨンヒョン研究委員は
 「同じ産業用でも、低圧の電気を使う中小企業は、高圧電気を使用する大企業に比べ高い電気料金を払うケースが多い。
 電気料金を現実化する過程で、中小企業に対する配慮が必要」
と語った




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