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● 上海地下鉄路線図 総延長420km
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ウォールストリートジャーナル 2011年 9月 28日 7:59 JST
http://jp.wsj.com/World/China/node_315174
中国の地下鉄事故、信号故障が原因か
【上海】約260人が負傷した27日の中国上海での地下鉄列車追突事故について、同国当局は信号システムの故障が原因と見ている。
同国では2カ月前に高速鉄道の衝突事故が起きたばかりで、鉄道建設ブームの中で同国鉄道の安全性への不安が一段と高まった。
上海市当局によると、けがをした人たちのうち約20人が重傷だという。事故は観光客の多いダウンタウン地帯で列車同士が衝突して起きた。今のところ死亡した人はいない。
上海の地下鉄運営会社、申通地鉄集団によると、地下鉄の信号システムは事故が発生する30分弱前から故障しており、運転士は手信号や電話の指示で運行しなければならず、このため減速運転となっていた。
この事故を受けてインターネット上には、死者を出した7月23日の高速鉄道衝突事故と今回の事故を比較する声が多く見られた。
7月の事故は、浙江省温州市で列車の後ろから別の列車が追突、車両は高架橋から落ちて、40人が死亡、190人以上が負傷した。
二つの事故は、さまざまな企業が納入した機器を使った、異なったタイプの鉄道で起きた。
しかし、地下鉄会社の発表によると、Casco(卡斯柯)という共通の納入業者がある。
これはフランスのアルストムと中国鉄道通信信号(CRSC)の上海での合弁会社だ。
Cascoの広報担当者はEメールで、地下鉄事故は信号故障と言うより、むしろ広範囲な停電によるものと見られるとしながらも、調査は続けられていると述べた。
アルストムとCascoは個別の声明で、7月の事故との関連を否定し、合弁会社の機器がこの衝突事故の「根本原因ではない」と改めて強調した。
アルストムとは関連のないCRSCの子会社は先に、7月の事故の責任を受け入れるとしていた。
アルストムは今回の事故に関する質問はCascoに聞くべきだととしている。
7月の温州市での事故によって、自国の高速鉄道の技術が世界的に優れていることを示そうとした中国指導部のイメージがひどく悪化した。
調査チームは当初、信号障害を指摘し、完全な調査報告を9月に発表するとしていたが、国営新華社通信は先週、同チームは報告発表を無期限に延期したとし、その理由として、問題が複雑であることを挙げた。
中国では高速鉄道が時速487.3キロの最高記録を樹立した今年1月以来、鉄道をめぐって多くの不祥事が起きている。
鉄道省トップの更迭にまで及んだ汚職、鳴り物入りで運行が始まった北京―上海線での停電などの事故がそうだ。
多くの専門家にとっては、7月の事故は今や世界最大となった高速鉄道網の拡大を急ぐあまり、安全面がおろそかにされてきたことを示唆するものとなった。
同国は地下鉄の拡充にも力を入れている。
1995年に最初の地下鉄が営業を始めた上海では、既に11路線が運行しており、駅の数は273、総延長425キロに達している。
今回事故が起きた10号線は昨年の上海万博の開幕数週間前に営業を開始した。
記者: JAMES T. AREDDY
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● 事故区間
1995年に営業を開始したというから16年のキャリアがある。
しかし、たった16年で400km以上のの路線を運行させるには、そこそこノウハウの積み重ねが必要であろう。
ちょっと、急ぎ過ぎているかも。
でも資金が豊かなときに、インフラ整備をやっておかないと、バブルがはじけたら手も足もでなくなるという危機感があるようだ。
いまのうちに社会基盤を大急ぎで整備しておけ、不況がきてもそれでやっていける、といった見込みなのかもしれない。
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サーチナニュース 2011/09/28(水) 10:39
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0928&f=business_0928_094.shtml
中国で鉄道建設の中断が続出…政府「借金過多」で支払いできず
中国工程院院士の王夢恕氏は27日、政府・鉄道部の鉄道建設に対する支払いが滞っており、多くの鉄道建設プロジェクトが資金問題のため中断していると述べた。
中国新聞社が報じた。
鉄道建設に携わる中国中鉄や中国鉄建への支払いが600億元(約7209億日本円)以上も滞っている。
そのため、建設工事の中断以外にも、建設の速度を当初予定より落とした例もある。
現場の作業員らへの給料遅配も発生しているという。
鉄道部の負債率は58%に達した。
主要銀行が鉄道部への融資で利率を高めたため、鉄道部はこれ以上、銀行から融資を受けることが難しくなったとされる。
中国全国における鉄道基本建設は2011年通年で6000億元(約7兆2090億日本円)の資金を投じる計画だったが、8月末までの実績では投入資金3164億元(約3兆8015億日本円)で、当初予定の80%程度の水準にしか達していない。
中国政府は27日、
「鉄道建設の管理を一段と強化するための若干の意見」
を発表し、資金調達や建設プロジェクトの統合、路線建設のための合資会社設立など、鉄道部自身の改革推進で、資金調達と路線建設の推進を確保する意向を明らかにした。
王夢恕氏は、政府の「若干の意見」が資金難にもたらす効果は限定的であり、
「銀行は利上げ、地方政府も資金を出そうとしない。
鉄道部の資金難が短期的に改善することは難しいだろう」
との見方を示した。
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サーチナニュース 2011/09/02(金) 11:19
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0902&f=business_0902_095.shtml
中国政府・鉄道部「火の車」…最大の“お荷物”は高速鉄道
中国政府・鉄道部が借金で青色吐息の状態だ。
2011年の元利返済は最低でも2009年の2倍以上の1800億元になる見込み。
最大の「お荷物」になっているのは高速鉄道の建設だ。
2010年から11年にかけて新規路線の開業が相次いだため、2012年以降は、返済額がさらに増加する。東方網が報じた。
北京交通大学経済管理学院の趙堅(ちょう・けん)教授は
「これまで大量に建設した高速鉄道線は、すでに鉄道部にとって『荷物』だ」
と述べた。
経営モデルは単純で、建設のために大量の融資を受け、今後は返済していかねばならないので、「鉄道部の財務状況は悪化しつづける」という。
収入面では、利用者数が当初見込みを下回る「誤算」が問題になっている。
北京と天津を結ぶ京津城際線では、年間延べ3000万人が利用すると見られていたが、実際には70%の延べ2000万人しか利用していない。
そのため、毎年6億元(約72億2700万日本円)とされる利息支払いが、重くのしかかっている。
北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道は2011年6月30日に開業したが、当初数年は毎年50億元(603億日本円)以上の赤字を出す見通しという。
鉄道部は中央政府の一部門であるが、実質的に独立採算で鉄道路線を経営している。
貨物部門は燃料や電力代の値上がりでコストが大幅に状況、旅客部門は高速鉄道の事故の影響もあり、当初予想ほどには利益が出せなくなってしまったという。
借金の元利支払いが、さらに財務を悪化させている。
北京交通大学の調べによると、鉄道部の2011年における元利支払いは少なくとも1800億元(約2兆1700億日本円)になるという。
鉄道部は2011年1-6月に42.9億元(約517億日本円)の利益を計上した。
しかし、収入のうち300億元以上は、鉄道建設基金として中央政府から受け取った金額だった。
鉄道建設基金は鉄道の運輸収入から一定の割合で返済することになっている。
そのため、実際には借金とみなすべきで、
鉄道部は同期、約257億元(約3100億日本円)の赤字
を出したとみなすべきという。
鉄道部の負債総額は2006年の6401億元(7兆7100億日本円)から、2010年には約3.3倍の2兆907億元(25兆2000億日本円)になった。
一方、2010年の営業収入は2006年の1.6倍にしか増えていない。
これまでの例では、鉄道部が融資を受けた場合、返済の当初3年間は利息分だけを返済していくことが一般的だった。
2010年ごろから開業が相次いだ高速鉄道については今後、元金返済も加わり、鉄道省の負担はさらに大きくなると考えられる。
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サーチナニュース 2011/09/13(火) 13:45
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0913&f=national_0913_109.shtml
中国・高速鉄道:車軸に想定以上の「ひび」、“沈黙”続ける政府
山東省済南市にある検査場で7月15日、超音波を用いる機器で高速鉄道車両の車軸を検査していて、長さ7.1ミリメートル、幅2.4ミリメートルのひびを発見した。
政府・鉄道部は専門家チームを組織して問題の車軸の再検査を行った。検査は終了したが、鉄道部は結果を公表していない。
中国経済網などが報じた。
鉄道部の定めによると、ひびなど「2ミリメートル以上の材質的欠陥」があった車軸は廃棄処分にして、報告せねばならない。
走行中に車軸が折れ、脱線や転覆(てんぷく)などにつながる恐れがあるための重要な規則という。
車軸で重大な欠陥がみつかったニュースは、中国メディアの「新世紀」などが、8月下旬に報じた。
記事には、検査所が作成した「欠陥発見」の報告書の写真も添えられた。
鉄道関係者によると、「長さ7.1ミリメートルのひび発生」で、技術者などの間に「衝撃が走った」という。
鉄道部が組織した専門家チームは、まず車軸内部の状況を調べる「検査機」の性能を点検。
検査結果に1.4ミリメートルの誤差がでることが分かったという。
つまり、鉄道部が定めた基準を大きく上回る3.4ミリメートルに近いひびが存在しても、測定値は2ミリメートル未満になり、検査を合格してしまう可能性があることになる。
鉄道車両車軸の検査に使う超音波測定器は、国際的にイタリア、ドイツ、次いで日本製が多く用いられている。中国では車両製造会社の多くがイタリア製を使っていた。
性能がよいとの理由だったという。
一方で、同超音波測定器の分野では2006年ごろから、中国企業の新聨鉄が急成長した。
06年には北京や上海の地下鉄会社に検査機数台を販売したことが分かっている。
08年の売上高は3000万間、09年7000万元、10年は1億元だった。
同社利益は07年の99万元から、2009年には1300万元と、3年間で10倍以上になった。
同社はドイツ企業と日本企業から技術を導入したとされるが、実際にはドイツ製の検査機を販売する事業が主だった。
急成長したのは、「国内企業育成」を目的とする鉄道部などの強い後押しがあったためだ。
急成長の「鍵」となる人物は、汚職事件で失脚した鉄道部トップの劉志軍部長(当時)だったとされる。
新聨鉄が扱う検査機は性能が安定せず、
「済南市だけでなく、その他の検査場でも(結果が信頼できない)問題が出ていた」
という。
飛躍的な発展をとげた新聨鉄だが、登記上の所在地は北京市内の古びた集合住宅の1室だ。
管理人によると、
「新聨鉄がオフィスとして使っていたが2010年に越した」
という。
新たなオフィスも活気があるようには見えず、会社の表札もないという。
同社の公式サイトは「リニューアル中」と表示されており、内容を見ることはできない。
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◆解説◆
新聨鉄が「官」との癒着(ゆちゃく)を利用して、品質の劣る検査機を販売していた可能性がでてきた。
ドイツ製の検査機を導入したのは、主に各地の鉄道局という。
鉄道部が検査結果を公表していないことも、「公表できない事情がある」と解釈することができる。
一方、現在までの情報を総合すれば、測定結果の信頼性に問題があったとしても、車軸に「7ミリメートル以上のひび」が存在したことは、製造上の欠陥と考えられることになる。
中国の高速鉄道は「いまだに二重、三重の危険にさらされている」
と結論せざるをえない。
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