2011年9月15日木曜日

米、新型ロケットの開発計画 火星へ行こう


●Agence France-Presse/Getty Images/NASA
NASAが発表した新型ロケット開発計画想像図



ウォールストリートジャーナル 2011年 9月 15日 11:36 JST
http://jp.wsj.com/US/node_306776

米、新型ロケットの開発計画を発表―いずれ火星目指す

 米航空宇宙局(NASA)は14日、新型ロケットの開発計画を発表した。
 計画の規模は350億ドル(約2兆6800億円)。新型ロケットは人類初の月面着陸を可能にした宇宙船「アポロ」時代の多層ロケットの能力を上回る設計がされ、宇宙飛行士を小惑星、ゆくゆくは火星にまで送り届けられるほどの力を持つ予定だ。

 今回の計画発表までの数カ月間、NASAと米議会の間で計画にかかる膨大な費用をめぐる論争が繰り広げられ、またホワイトハウス内部でも議論された。
 NASAのチャールズ・ボールデン局長は、新型ロケット開発計画が
 「人類のディープスペース(深宇宙)探査への取り組みの第一歩」
になるだけでなく、宇宙開発における米国のリーダーシップ持続を確実にすると強調した。

 今後数年間にわたって、民間が開発したこれとは別個のロケットが退役スペースシャトルの代わりとなり、国際宇宙ステーション(ISS)への輸送を受け持つ予定だ。
 一方、NASAが独自に開発する新型ロケットは退役スペースシャトルの数倍の力を持ち、地球周回軌道をはるかに超える深宇宙の有人探査を推進する。

 同局長の発表には議会の議員グループも同席した。
 この発表を受けてオバマ政権は、財政赤字に対する懸念が増大する中で新型ロケットのコンセプトを売り込むという困難な取り組みを開始した。

 新型ロケットの初の無人試験飛行は2017年に実施される見通しで、新型ロケットは当初、退役シャトルに由来する固体ロケットモーター技術を採用する。
 その後、次世代の液体燃料ブースターにシフトする。この次世代ブースターは最終的に130トン以上の重量を打ち上げる力を持つ予定で、既に開発中の6人乗りカプセルなどを搭載して、地球周回軌道よりもはるか外側に送り込む。

 現在国防総省が保有するロケットの推力は約25トンだ。
 また米宇宙飛行士を月面に送り届けた「サターン5」の推力は約130トンだった。

 新型ロケットの高さは300フィート(約91メートル)を超えることになる見通し。
 NASAはこのロケットを使った初の有人飛行が2021年になるとしている。
 NASAは今後、ロケット開発に携わる企業を選ぶ予定で、米航空宇宙業界に高収益をもたらす可能性のある新たなビジネスの機会が生まれる。

 ボールデン局長は
 「オバマ大統領は、大胆になって夢を大きく描くようわれわれに求めている」
と述べ、
 「宇宙飛行士たちは今後、火星の上をいつか歩くことを夢見るだろう」
と語った。

 このように超党派議員グループも参加して、鳴り物入りで発表された新型ロケット開発計画だが、発表前には開発予算をどうするかなど激しい政策論議が戦わされた。
 一部議員はNASAに一部の企画文書を提出するよう求めるため異例の召喚状を出したほどだ。

記者: Andy Pasztor




ナショナルジオグラフィック ニュース September 15, 2011
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011091507&expand&source=gnews

 NASAが14日に発表したSLS(Space Launch System)は、開発費用100億ドル(約7660億円)の巨大プロジェクトだ。
 画像は発射されるSLSロケットの想像図。

 バラク・オバマ大統領は就任当初から、前政権で進めていた月探査計画を打ち切り、火星や小惑星など、より遠方の宇宙空間への有人飛行を目指す新しい方針を示していた。

 スペースシャトルの積載量は約25トンだったが、新型ロケットは70トンの物資を搭載でき、将来的にはその2倍近い物資の輸送を可能にする予定だ。
  SLSのロケットには、これまで実績があるスペースシャトルのメインエンジンや外部燃料タンクなど多くの技術が再利用され、開発・運用コストの削減を実現させる。
 また、ロケットの燃料にはシャトルと同じ液体水素や液体酸素が使用される予定となっているが、改良型の固体燃料の活用も検討している。

 新型ロケットの完成予定は2017年で、まずは無人での試験飛行を実施する。オバマ大統領は、2025年までに小惑星への有人探査を実施し、2030年代には火星へ人類を運ぶことを目標に掲げている。





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