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2011年9月16日 読売新聞
京都府、北中部5市町演習 原発避難課題が次々
ルート確保、防護服不足
福井県に立地する原子力発電所から20キロ圏内に市町域がある舞鶴、綾部、宮津、南丹、京丹波の5市町の各職員と府職員らが15日、事故発生時の住民避難などの対応を検討する机上演習を上京区内で行った。
住民に避難を促すタイミングの見極め方や、避難してきた住民に対し、どのように科学データを集めて状況を説明するかといった点で態勢が不十分なことが浮き彫りになった。
市町からは計約30人、府は本庁や広域振興局から計約20人が参加。
関西電力高浜原発(福井県高浜町)でトラブルが起きたという想定で班分けして演習を行った。
「首相による緊急事態宣言が出た」
「20キロ圏内に避難指示が出た」
など、いくつかの事故段階を仮定して、情報収集の仕方や避難誘導の車両確保、避難所の開設など、自治体が対応すべき課題を、大きな模造紙に書き込みしながら確認していった。
参加者は
「大雪の時の避難は大丈夫か」
「他の自治体から避難してきた人の受け入れはどうするか」
など、めまぐるしく変わる情勢を想定しながら、課題を話し合った。
約1時間半に及んだ演習後、各班の代表が気づいた点を発表。
綾部市の担当者は
「避難ルートが幹線の1本しか確保できそうになく、渋滞を念頭においた対策も必要と感じた」
と述べた。
南丹市の担当者は
「防護服や線量計の数が不足しているのでは」
と指摘した。
府の推計では、高浜原発の事故に備え、防災対策を重点的に充実させる府内の地域(EPZ、20キロ圏内)の対象住民は約8万8000人に上る。
最も大きな影響を受ける舞鶴市の竹原裕・危機管理・防災課主査は
「市内には海水浴場もあり、住民だけでなく観光客の避難誘導も考えておかなくては」
と真剣な表情だった。
府は、綾部、宮津、南丹、京丹波の4市町については9月末までに、原発事故を想定したそれぞれの避難計画を策定するよう要請。
舞鶴市については対象エリアが広いため、期限は設けず、計画を完成させるよう求めている。
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asahi.com 2011年9月15日
福井・美浜原発重大事故なら 琵琶湖汚染の予測
滋賀県は14日、関西電力美浜原発(福井県美浜町)で重大事故が発生したとの想定で、放射性ヨウ素の拡散予測を公表した。
福島第一原発の事故時に外部へ放出された線量をもとに試算したところ、関西一円の水源である琵琶湖の北部でも、呼吸に伴う甲状腺の被曝(ひばく)線量が屋内退避が必要な100~500ミリシーベルトになる可能性のあることが分かった。
放射性物質の拡散は美浜原発が立地する福井県付近でも予測されるが、近隣県への配慮から滋賀県内の予測データのみ公表した。
また、内部被曝線量が100ミリシーベルト以下と予測される地域のデータも「避難計画の作成に影響しない」として公表しなかった。
今回の予測は、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)が大気汚染物質の拡散を調べる手法を応用した。
福井・滋賀県境から約16キロの美浜原発で2月か5月に事故が起き、放射性物質の放出が6時間続いたと想定。
放射性ヨウ素が風速2~6メートルの北北西か北西の風で拡散したと仮定し、各地の24時間あたりの積算線量を計算した。
その結果、国の防災指針で、内部被曝線量が「避難指示」の対象となる500ミリシーベルトを超えるのは、福井県内に限られた。
一方、線量が「屋内退避」が必要な100~500ミリシーベルトとなる範囲は、2月のケースで滋賀県高島市と長浜市の計約117平方キロに及んだ。
また、同程度の線量は、原発から約40キロ離れた琵琶湖の上空まで広がると予想され、近畿1400万人の水源が汚染される可能性があるという。
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●福島第1原発事故の放射性物質放出量と2月の気象条件をもとに、関西電力美浜原発で事故が起きた場合に滋賀県内で屋内退避が必要と予測されるエリア(黄色の部分):京都新聞
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