2011年8月23日火曜日

韓国のソフト強化策:誰も使わぬOSの開発

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● サムスンOS Bada



朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/23 08:25:22

韓国政府、サムスン・LGとクラウドOS開発へ

 韓国政府はサムスンやLGなど韓国企業と協力し、グーグルの基本ソフト(OS)「クロームOS」に対抗できるOSの開発に乗り出す。
 OSとは、米マイクロソフト(MS)の「ウィンドウズ」やグーグルの「アンドロイド」のように、各種のIT機器を作動させるための基本となるソフトウエアだ。

 知識経済部(省に相当)のキム・ジェホン成長動力室長は、22日に行われた記者懇談会で
「企業と合同でコンソーシアムを組み、韓国独自のOSを開発する計画」
と述べた。
 キム室長は
 「スマートフォン(多機能携帯電話端末)やタブレットPC(タッチパネル式の表示・入力部を持つ携帯可能なパソコン)用のOSは、すでにグーグルとアップルが市場を占有しているため(競争は困難だと考え)、次世代のOSといわれるウェブ基盤OSを開発する予定」
と説明した。

 ウェブ基盤OSとは、主なファイルやプログラムをPC(パソコン)のハードウエアではなくインターネットのサーバー上に置き、必要なときに呼び出すという概念で、IT機器の構造を簡素化・小型化できるのが特徴。
 スマートフォン用のOS「アンドロイド」を開発したグーグルは、今年5月にウェブ基盤OS「クロームOS」を発売した。

 政府はまず、ウェブ基盤OSをデスクトップPCやノートPC用に開発し、成果が良ければスマートフォンやタブレットPC用に拡張していく計画だ。
 また、このOSはグーグルの「アンドロイド」と同様に、誰でも自由に利用できるオープンソース形式で開発し、多数のユーザーを確保するとしている。

■クラウドコンピューティング
 自分のPCではなく大型サーバーコンピューターにファイルやソフトウエアを保存しておき、必要なときにインターネットを通じて利用するサービス。

 韓国政府すらもあせりはじめている。
 お尻が落ち着かなくなっている。
 なにかやっていないと身がもたないという状況だろうか。
 でも、OSの開発などやめたほうがいい。
 日本ではトロンの開発が官民一体でああった。
 が、採用には至らなかった。
 世界のスタンダードにならないと、インターネットでは価値がない。
 ハードなら世界基準を作れる。
 でもソフトはダメ。
 無駄な努力に終る。
 が、しかしである。
 その失敗で培ったノーハウは資産になる。
 強いていえば、この計画はOS開発というアドバルーンの下で行われる政府のソフト強化策とみていたほうがいい。
 OSは開発できない。
 でも多くのソフト開発者を育てることができる。
 それを政府の仕事と割り切れば、OSの開発も悪くはない。
 IT大国韓国のメンツにかけてやるつもりだろう。


ハンギョレ・サランバン 2011年08月24日08:37 

"誰も使わず廃棄されたK-DOSの再来になるしかないのに…"

政府‘独自OS開発’方針に業界 無誠意 なぜ?
政府主導 SW 開発プロジェクト推進事例

 ‘開発だけしてどうするの。誰も使わないでしょうに…。’
 最近政府が三星電子・LG電子・パンテックなど国内企業等と共同でグーグルの‘アンドロイド’とアップルの‘iOS’に対抗する国産モバイルOSを開発すると発表したことに対し、関連業界ではすっきりしない反応が支配的だ。
 過去の経験に照らしてみれば開発作業に参加した企業等でさえ、それを採択しないという皮肉はもちろん、業界の現実と産業環境さえ正しく理解できない拙速処方という批判も激しい。
 政府主導のソフトウェア開発プロジェクトが中途でうやむやになった事例はおびただしい。
 いわゆる‘K-DOS'プロジェクトが代表的だ。
 かつて‘286コンピュータ’と呼ばれた‘80286’PCが普及した1990年代初め、政府はマイクロソフト(MS)に従属したソフトウェアの‘独立’を叫び、PC製造業者らと共に韓国コンピュータ研究組合を設立し国産PCのOS開発に乗り出し、ついに1991年‘K-DOS’を出した。
 だが‘G7プロジェクト’の一つとして少なくない人材と予算を投入し開発したK-DOSはまともに使って見られることもないまま‘冷や飯’扱いされ、結局WINDOWS OSの登場と共に廃棄された。

 当時、三星とLGなど国内PC製造業者らまでがK-DOSを冷遇した。
 これら業者はK-DOS開発に参加していながら、MSの‘MS-DOS’を装着した。表面ではK-DOSの安定性が検証されていないという言い訳をしたが、実際にはMS-DOSだけを装着しろとのMSの一方的な契約条件に足かせをかけられていたためだ。

 公務員の伏地不動も一役買った。
 公衆電話の落銭収入で全国の小・中・高に供給される‘教育用コンピュータ’にK-DOSを先ず入れて安定性の検証を受けようという代案が登場し、今度は教育部がブレーキをかけた。
 「OSとしてMS-DOSを入れたコンピュータで障害が出れば問題にならない。
 MS-DOSがあの程度なら他のものはさぞかし大変だろうと考えた。
 だが、K-DOSを入れて問題が生ずれば責任を負わなければならない。
 MS-DOSを入れレバ済むものを、なぜK-DOSに変えて事故を起こすのかと責任を問う。」
 当時、教育用コンピュータ普及の仕事を請け負っていた教育部のある奨学官が記者たちに投じた言葉だ。
 こういう経験は以後にも繰り返された。
 ‘韓国型LINUX’、‘韓国型モバイル プラットホーム(ウィーピー)’、‘韓国型ルータ’等もその例だ。
 一様に政府プロジェクトとして開発されたが関連企業等の支持を受けることができずに当初の趣旨を生かせないまま厄介者に転落した共通点がある。

 今回推進される国産モバイルOS開発もやはり似た運命に処する可能性が高いという指摘が多い。
 アンドロイドとiOSの事例に見るように、モバイルOSはソフトウェア自体よりは関連生態系を豊富にさせることがはるかに重要だ。
 その上、三星電子はすでに‘パダ(海)’という独自OSを持っている。
 政府の発表を眺める業者の反応が冷たい理由だ。
 ある業者関係者は「政府が掲げた名分を立てておき拒否することは難しく手伝いはするが率直に言って気が向きはしない」と話した。

キム・ジェソプ記者 jskim@hani.co.kr


朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/29 11:31:16

【コラム】全世界がサムスンのスマホOSを使う日

 サムスン電子が開発したスマートフォン用基本ソフト(OS)の名前は「パダ」(韓国語で海の意味、英文表記はBADA)だ。
 しかし、同社はグーグルのOS「アンドロイド」を搭載した「ギャラクシーS」シリーズをスマートフォンの主力としている。
 当然、一般消費者に「パダ」は浸透していない。
 パダという名前には
 「この世の全てのスマートフォン開発者とユーザーが使うような、広い海のようなOSを目指す」
という意味が込められているという。
 パダの開発者支援センター(ソウル市江南区)の名前も「オーシャン」だ。

 その名の通りになればよいのだが、現実はそうはいかない。
 パダで動作するスマートフォンは世界市場にほとんどない。
 インドと中国で販売されている中低価格帯の携帯電話端末の一部に採用されているが、合計しても世界シェアは1.5%にすぎない。
 市場で一流製品となるためには足りない点が多いからだ。
 サムスンと韓国IT業界の悩みは、技術力に苦しみ、よその技術を借りなければならないという事実に表れている。

 「参加、共有、開放」というコンセプトの「ウェブ2.0」という技術革新は、グーグルというインターネット界の巨大企業がリードした。ネットユーザーはグーグルのオープン式検索を無料で利用し、感激に浸った。
 グーグルアースなど革命的なサービスに積極的に参入し、情報を常に共有しながら、「グーグル帝国」の一員となることにためらいはなかった。

 ウェブ2.0がネットユーザーに数多くの機会、経験、恩恵をもたらしたのは確かだ。
 グーグルの技術開放も、自分たちが実利を得るための営業戦略にすぎない。
 「邪悪になるな」というモットーを掲げ、「誠実な企業」を目指すというが、グーグルの究極の目標は利益の極大化であり、無料の情報と技術開放は、顧客集めのためのビジネス戦略にすぎない。
 グーグルの電子メール利用者は2億人以上に達し、数億人が1日平均計30億回以上もグーグル検索を利用している。
 これが年間数百億ドル(数兆円)に上る検索広告収入の源だ。

 グーグルの意図は、最近もモトローラ買収で露骨に表れた。
 無料のOSをばらまき、世界のスマートフォンメーカー、通信事業者、ユーザーを取り込むことに成功し、今度は携帯電話端末の生産まで制覇しようとしている。
 モトローラは携帯電話関連の特許を最も多く保有する「技術王国」だ。
 韓国の携帯電話産業は、独自技術がなく、ソフトウエア競争力がないことで揺らいでいる。
 アップルとの特許訴訟に苦戦し、サムスンとLGはグーグルのモトローラ買収によって生じる爆風に緊張している。

 独自技術なしで世界的な競争に打ち勝つことは不可能だ。
 韓国のスマートフォン産業の突破口も独自技術の確保が大切だ。
 小川の水は川へと流れ、海へと集まる。
 サムスンのOSパダが優れた技術で世界の技術者や開発者の拍手を受けてこそ、韓国のスマートフォンが名実ともに世界首位に躍進できる。

 世の中、何があってもおかしくない。
 が、絶対に起こらないことというのがある。
 韓国のOSが世界に躍進することだ。
 そもそもそれができるのであったら、その前に日本のOSが躍進していたはずである。
 


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    結 末
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2011年10月29日07時24分  [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/082/145082.html?servcode=300&sectcode=300

韓国政府、“国産OS”開発計画を白紙化

政府とサムスン電子、LG電子などの韓国企業が共同で開放型国産基本ソフト(OS)を開発するという計画が結局、白紙になった。

知識経済部の関係者は28日、
 「独自のモバイルOSを開発する案について製造企業や研究機関と今月中旬まで議論したが、開発しないのがよいという結論を出した」
 と明らかにした。


 分かっていたことが、分かっていたように結論化されただけであるが。
 「全世界がサムスンのスマホOSを使う日」なんて絶対にこないということだ。
 日本のトロンですら、使われていないだから、冷静に考えればすぐにわかることである。
 つまらぬところに金を使うことにならずに、よかったと思うのだが。





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