2011年8月27日土曜日

菅氏は居座り、驚くべき結果を出した

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ウオールストリート・ジャーナル 2011年 8月 26日 18:10 JST

菅首相退陣へ─最後に挙げた成果

 菅直人首相は26日、民主党代表からの辞任を表明。
 首相としての波乱に満ちた日々にピリオドを打ち、5年間で6人目となる次の首相にその座を明け渡すことになった。

 菅氏が首相に就任したのは昨年の6月。
 市民活動出身の菅氏が、政治を裏側で進める日本の慣習を打ち砕くのではと、大きな期待が持たれた。

 だが、早々に増税を宣言したのを皮切りに、菅首相が任期のあいだとった政策は不人気続きだった。
 昨年9月に領土問題をめぐる中国との外交論争で失態を演じて以来、世論調査での支持率は下がる一方だった。

 3月11日の東日本大震災と、原子力発電所の危機をめぐる対応への不満、野党の敵対的な姿勢を背景に人気はさらに下がり、民主党員からも辞任を求められるほどになった。
 首相就任時には66%だった支持率が、15%までに低下した。菅氏は今週、間違いを犯した責任をとって辞めるのではないと述べた。

 菅氏の後継となる新代表の座を巡って、7名もの民主党の候補者が争うと見られている。
 候補者は27日に共同記者会見を開き、28日には公開討論会を行う。
 投票は29日に行われ、30日に新代表は議会で新首相に任命される見通し。

 菅政権を特徴づけたのが、東日本大震災だった。
 マグニチュード9.0の地震は記録に残っている中で最大規模であり、さらに30-40メートルにも達する津波が襲った。
 この災害により、2万人以上が死亡または行方不明となり、10万棟以上の建物が破壊された。

 この震災により、福島第1原子力発電所で、チェルノブイリ以来最悪の原発危機が起こった。
 3つの原子炉でメルトダウン(炉心溶融)が起こり、東北地方の広い地域に放射能汚染が広がった。

 津波が発生した地域における素早い対応、特に自衛隊の活動について、海外からは幅広く称賛の声が寄せられた。
 だが、国内での見方はまったく異なっていた。

 首相の下に人々が結集することはなく、さまざまな方面から菅首相は攻撃を受け、自身の内閣からも攻撃された。
 菅首相は、官僚的な東京電力が危機を真剣に受け止めないのではないかとの懸念から、自ら原発危機にかかわり、そうした細部への介入が批判された。

 野党の自由民主党は政権奪回のチャンスを嗅ぎ取り、協力を拒否した。

 強敵の小沢一郎元代表が政権に影を落とし、菅首相は民主党内でも次第に孤立を深めていった。
 菅氏は昨年9月の代表戦で小沢元代表を破り、それに続く小沢氏の政治スキャンダルで、小沢氏の命運は封じ込められたかのように見えた。
 だが小沢氏は党内のリーダーや前首相の鳩山由紀夫氏らと組み、菅氏を苦しめた。

 しかし、反対者をやり過ごし、望むものを手に入れるまで
菅氏は居座り、驚くべき結果を出した

 菅首相は、政府が資金を確保するうえで不可欠となる公債発行特例法を成立させた。

 さらに注目されるのは、日本の10の電力会社が独占し、厳しく規制されている
電力業界を開放する画期的な法律を成立させたことだ。

 福島第1原発の事故の後、国民が原発を恐れているのを感じ取り、菅首相は再生エネルギー特別措置法を押し進めた。
 風力や太陽光による電力など、
外部からの電力を電力会社が買い取ることを義務づけた
ものだ。

 日本はこうした展開において出遅れており、大型原発プロジェクトに依存度を高める傾向があった。
 財政難の地方自治体も、原発に付随する大型の補助金を望んでいた。

 菅首相が
「退陣の条件」のリストにこれを掲げなければ、こうした法案が成立する見込みはほとんどなかった

 おそらく後世の歴史家は菅直人の「スゴ腕」を賞賛することになるだろう。
 小泉純一郎と菅直人、
日本はこの2人の政治家を持ったことを誇ってよいだろう。

 政治家らしい政治家
 つまり昨今のゼニ至上主義という既得権利のしがらみから離れ、
 明日の日本を思いやる考えのできた数少い政治家
だったといえよう。



ウオールストリート・ジャーナル 2011年 8月 26日 20:08 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_295418

電気料金、月150円上昇=買い取り費用の転嫁で―再生エネ法

 26日成立した再生エネルギー特別措置法は、太陽光、風力、地熱などによる電気の全量買い取りを電力会社に義務付ける内容で、2012年7月に施行される。

 電力会社は、買い取り費用を家庭や企業の電気料金に上乗せする仕組み。
 経済産業省は上乗せ単価をキロワット時当たり0.5円以下に設定したい考えで、標準家庭の1カ月の電気料金は、買い取り初年度の12年度で40円程度、20年度には150円強、上昇する見通しだ。

 全量買い取り制度の導入で太陽光や風力発電が増え、発電電力量のうち
再生エネルギーで賄う比率は、09年の8.5%から20年には12.5%へ高まる
見込みだ。
 それに応じて電力会社が買い取る再生エネルギーの量が増え、家庭の電気料金への転嫁分も膨らむ。

 実際の買い取り価格は、新設する第三者機関「調達価格等算定委員会」の意見を踏まえて毎年度、決定する。
 買い取り価格が高めになれば、上乗せ単価がキロワット時当たり0.5円よりも高くなる公算だ。
 その場合、電気料金の上昇幅は経産省の想定よりも大きくなる。

 国会審議では、再生エネルギーの全量買い取りについて、国の電力政策の基盤となる「エネルギー基本計画」の見直し後に導入するよう求める意見も出た。
 東京電力福島第1原発事故を受けた同基本計画の変更に併せて再生エネ法が改正され、制度の内容も変わる可能性がある。 

[時事通信社]




ウオールストリート・ジャーナル 2011/8/27 15:21
http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/08/27/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%AC%A1%E6%9C%9F%E9%A6%96%E7%9B%B8%E5%80%99%E8%A3%9C%E3%82%89%E3%80%81%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%82%92%E6%95%AC%E9%81%A0%E2%80%95%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A/

日本の次期首相候補ら、原発問題を敬遠―民主党代表選29日投開票

By Yuzo Saeki

きょうのWSJ日本版より

【東京】この25年間で世界最悪の原発事故が発生してから6カ月経ち、菅直人首相は辞任を表明、次期首相の選挙戦が始まった。
 だが、福島原発事故の広範な影響について語る候補者はほとんどない。

 原発方針についてほのめかしたという程度であれば、3人の有力候補(現閣僚2人と前外相1人)は長期的には原発依存の縮小を目指すが、少なくとも 2030年までは既存の体制を維持することに賛成すると述べている。
 これは、脱原発路線を表明した菅首相よりも原発支持に近い。
 菅首相は以前は率先して原 発を推進してきたが、その後方針を180度変え、検査などで停止状態となっている原子炉の運転再開を遅らせてきた。

 27日告示、29日投開票される民主党代表選挙では5人の議員が立候補するとみられる。
 菅首相は26日、太陽光や風力発電など、再生可能エネルギーの利 用を電力会社に義務付ける再生可能エネルギー特別措置法などの主要法案が成立したことを受け、以前表明したとおり辞任することを正式に発表した。

 菅首相は3月に福島第一発電所のメルトダウン(炉心溶融)事故が発生して以来、原子力発電に対して懐疑的な見方を強め、7月には完全な「脱原発」を表明した。
 それは、原子力反対の意見が広まっている世論の方向と合致するものだった。

 だが、国民の関心の高まりとは裏腹に、次期首相候補らは原発問題に対する方針を明確にしていない。
 この国民と政治家とのギャップは、長く日本の政治を観察してきた政治評論家にとっては意外ではない。

 東京在住のマサチューセッツ工科大学国際問題研究所研究員で、「Shisaku」という日本政治に関するブログを書いているマイケル・クセック氏は、
 「原子力発電と日本の将来のエネルギー政策におけるその役割が主要な論点になっていないという事実は、永田町が非常に内向き志向であることを示している。
 これは重要な問題とするべきだが、政策を討論する時間がない」
と指摘する。

 次期首相候補は派閥幹部の支持をとりつけ、選挙での票を確保することを最優先、原子力やその他の問題を後回しにしている。
 民主党内の正式な討論会は投票前に1回予定されているのみだ。

 企業と一般国民との意見の相違が拡大していることもあり、大半の候補者はエネルギー政策について慎重だ。
 最近行われた世論調査では原子力発電賛成意見は 大幅に減少したが、一方で、大きな影響力をもつロビー団体の経団連をはじめとする日本の財界は原子力発電の現状維持の支持を表明している。

 学習院大学の政治学教授、野中尚人氏によれば、菅首相の意見は民主党内でも極端ではあるが、大半の民主党員は原子力エネルギーへの依存を減らすことに賛成している。

 菅首相は、脱原発の工程については具体的に述べていないが、繰り返し「脱原発」方針を表明し、それを菅政権の国会通過を目指す重要法案の一つとしてきた。

 有力候補の1人、前原誠司前外相は、6月の講演で、菅首相の脱原発路線をいたずらに「ポピュリズムに走っている」と批判していた。

 23日に民主党代表選への立候補を正式表明した記者会見で前原氏は、原発問題について、エネルギー政策の「変更」を支持すると述べるにとどめた。
 また、 同氏はテレビ朝日の「ニューステーション」で生中継の取材に応じ、既存の原子炉が廃炉となるまで、段階的に原子力を廃止していくことを提案した。

 同氏の考えは、原発を新たに建設しなければ原子炉の耐用年数は40年なので、徐々に減り続けるというものだ。

 前原氏ともう一人の立候補予定者である野田佳彦財相は双方とも、原発に対する短期的には原発支持姿勢を示すものとして、原発を持つ地方自治体を訪問する 意図を示している。
 それとは対照的に、菅首相は、原子炉を安全に再開できるとの首相本人からの確認を得たいとの地方自治体からの要望を無視してきた。
 地方 自治体関係者はそれを、停止中の原子炉運転再開に対する菅政権の躊躇の表れとみている。

 日本の次期首相は、就任した直後から、安全に関する懸念が続くなか、これら地方自治体に原発の運転再開を要請するという課題に直面することになる。

 スタンフォード大学の日本政治学教授、ダニエル・オキモト氏は
 「東日本大震災によって原子力エネルギーに対する日本の長期的な展望に疑問が生じている」
と 延べ、
 「しかし、既に設置されている原子力発電所を近いうちに再開するというアイデアは今も十分生きている。
 大きな問題は、それをいつ、どう再開するの か、ということだ」
指摘した。

 野田財相は停止中の原発を再開し、原子力に依存し続けることに賛成意見を表明している。
 有力月刊誌「文芸春秋」に論文を寄稿し、原子力への依存を減らす ことを目標とする一方で、少なくとも2030年までは既存の発電所を活用して、エネルギーのニーズの一定割合を満たすべきとした。

 同様に、次期首相候補の1人で菅首相から原発セクターの抜本的見直しを命じられた海江田万里経済産業相も、複数のエネルギー源を最適な割合で併用する「ベストミックス」の一部として原発の継続を提案している。

 海江田氏は、東日本大震災と津波による福島第一原発事故発生2ヵ月後の5月11日に行われた国会で、単に「脱原発」ということではなく、エネルギーのベストミックスを見つけることが必要だと述べた。

記者: Chester Dawson




 レコードチャイナの記事から。


レコードチャイナ 2011-08-28 12:19:44 配信
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=53891

<レコチャ広場>
無能首相のクビが次々とすげかわる日本
……その擬態にだまされるな―中国


 2011年8月26日、菅直人首相は辞任を発表した。
 なぜ日本の首相はめまぐるしく変わるのか?
 何度となく繰り返されたこととはいえ、改めて中国ネットユーザーの話題となっている。
 27日付環球ブログのエントリーがこの問題を取り上げている。

 少しでも日本に憎しみを持つ中国人ならば、
日本人にはAVを作る以外何も出来ないと思っている
だろう。
 だが、その日本が日清戦争で中国を破り、そして日露戦争でロシアを破ったのだ。
 近代史史上初めて、黄色人種が白人種に勝利した戦争となった。

 現在の日本についても、
 中国メディアは日本の無能を伝えるばかりだが、実際は違う。
 菅直人首相は外資優遇による企業誘致策を打ち出すなどの現実的対策を着々と進めている。
 短期間で首相が変わる問題にしても、中国式に世論を気にせずに権力に居座ることができないだけなのだ。

 無能なように見える日本だが、いつ牙をむいて中国の横っ面を張り倒すかわからない
 日本をバカにするだけで満足し、本気で日本を乗り越えようとしなければ、この日本と中国の力関係は変わらないだろう。


 ころころ内閣が変わるスタイルは擬態なんでしょうか。
 そうとも思えないのだが。
 首相が変わっても日本は変わらない、というのが日本のスタイルだと思うのだが。
 権力者はいつでも引き下ろせるという安心感があることによって、日本の安定が保持されている。
 一番こわいのは数年間も権力に居座るリーダーが出現することだ。
 そうならないように作られているのが日本のシステムだ、といっていい。

 


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