2011年8月24日水曜日
「韓国は先進産業国、現実を見よ」
● カリフォルニア大学サンディエゴ校のステファン・ハガード教授が23日、韓国政治世界学術大会で「韓国の政治経済学:クオ・バディス?」と題して基調演説を行った。/写真=韓国政治学会提供
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朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/24 14:54:28
http://www.chosunonline.com/news/20110824000055
「韓国は先進産業国、政治経済学者は現実を見よ」
国際比較政治の大家、ステファン・ハガード教授が韓国政治世界学術大会で苦言
「韓国について研究する政治経済学者は、依然として過去志向的な論争から抜け出せずにいる。
韓国の現実は、開発途上国というよりは先進国に近いが、学界は経済発展に追い付いていない」
韓国の現実と理論の現在地を観察してきた海外の大家の診断は、厳しいものだった。
「韓国の政治経済学:クオ・バディス(どこへ行く、の意)」
という鋭利なタイトルを掲げ、仁川大学大講堂で講演を行った、
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のステファン・ハガード教授。
23日に開幕した2011年韓国政治世界学術大会での基調演説だった。
これは、韓国政治学会(会長:朴賛郁〈パク・チャンウク〉ソウル大学教授)が隔年で開催している大会で、今年のテーマは
「世界の中の韓国政治:理論と実際」。
25日までの日程で、23カ国から約390人の学者が参加、250本の論文を発表し討論を行う。
学界の「現実不感症」を批判するハガード教授の演説は、韓国内外の学者たちを刺激するには十分だった。
ハガード教授は、韓国に対する自身の初期の研究テーマが、韓国をはじめとする東アジア諸国の権威主義体制と高度成長の関係だったと紹介した。
この日も、政治と経済成長の相関関係をめぐって学界で交わされた議論を整理した後、ハガード教授は次々と苦言を呈した。
「(韓国の政治経済研究を)振り返って驚くべきことは、政治学分野が1960-70年代の高度成長ばかりに関心を注ぎ、そこから抜け出すのが余りにも遅かったということ」
「80 年代、さらには90年代になっても、韓国に関する政治経済学の文献は、依然として20年前の発展について説明しようとしている」
「97-98年の金融危機で新たな関心が生まれたが、論争の大部分は、依然として過去を向いている」。
さらに批判は続いた。
ハガード教授は、学界が現実を見落としていると指摘した。
「韓国は、実際にはもはや開発途上国ではなく、先進産業国になった。
韓国の政治経済学は、この事実を見抜くのにも遅れを取り、停滞状態に陥っている」
ハガード教授は、韓国政治経済学の新たな道も提示した。
「これから最も重要な政治的・分析的論点となるテーマは、今の韓国がどのような種類の市場経済であって、今後どのような形の市場経済になるのかということ」。
続いて
「たとえ権威主義の類型であっても、韓国が一種の調整された市場経済から(抜け出し)、より市場中心の経済へと向かっていることを示す強力な証拠がある」
と述べ、
①.貿易投資での開放性の増大、
②.金融部門の民営化と規制緩和、
③.より柔軟な労働市場の創出
などを例として挙げた。
しかしその一方で、
「こうしたモデルの単純拡張だけでは、持続的作動の可能性は低い。
古い秩序の遺産として、財閥がいまだ経済面で支配的地位を占め、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善から金融・産業資本の分離の維持などに至るまで、幅広い政策に影響力を行使している」
と指摘した。
続いて、新たな政治経済学について
「(かつての)成長や金融危機にとらわれず、今の韓国の政治経済をユニークな先進産業国家の均衡体系として理解しようとする試み」
と定義し、
「今の韓国は、ほかの中間所得国家と比較するよりも、アングロ・アメリカやスカンジナビア、ヨーロッパ大陸の資本主義諸国と比較して類似している点や差異を探る方がよい」
と語った。
ハガード教授は、福祉問題も興味深いテーマになると語った。
「民主化は、福祉の恩恵を大きく育てた。
その結果、韓国の健康保険システムは米国よりはるかに裾野が広がったが、同時に大企業労働者の二元主義や非正規職の急増などは、今後の課題となるだろう」
韓国政治学会の朴賛郁会長は
「韓国の学界は、今や変貌した国家のあり方にふさわしい的確な研究を行い、世界の学界にも寄与しようという趣旨からハガード教授に基調演説を依頼したが、極めて新鮮な指摘だという評価が多かった」
と語った。
康元沢(カン・ウォンテク)ソウル大学教授も
「韓国国内のみならず世界の政治経済の現実が、従来のパラダイム(規範となる物の見方)には適合しない時代になったという観点から、適切な問題提起に思えた。
ただ、韓国の学界も、過去に埋没しているというよりは、過去とは異なる現実に対する一種の重層的な悩みに直面している」
と語った。
■ステファン・ハガード教授
東アジアの経済成長と権威主義政治の相関関係をめぐる比較研究、および北朝鮮研究で名高い。
世界銀行、経済協力開発機構(OECD)などの国際機関で諮問委員を歴任。
著書として『アジア金融危機の政治経済学』(2000年)を出版し、共著には『北朝鮮 飢餓の政治経済学』(07年)、『変形の証人:脱北者の北朝鮮通察』(11年)などがある。
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朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/25 12:41:37
http://www.chosunonline.com/news/20110825000050
海外工場建設から現地企業買収へ、
韓国企業の戦略変化
韓国流通業界のライバル、ロッテとイーマートは、中国の量販店市場に進出するに当たって、正反対の戦略を取った。
イーマートは用地を買収し、店舗を新たに建設して、商圏を開拓した。
これに対し、ロッテはマクロ、時代零售(タイムズ)など現地業者の合併・買収(M&A)により、短期間での中国市場拡大を狙った。
両社の異なる戦略は正反対の結果を生んだ。
イーマートは中国に 27店舗を展開しているが、毎年赤字が膨らみ、撤収やてこ入れが必要な状況に陥っている。
一方、イーマートより10年遅い2007年に進出したロッテは、既に82店舗に拡大し、中国市場に定着した。ロッテの現地M&A戦略が奏功した格好だ。
■海外でのM&A急増
最近、ロッテのようにM&Aを利用して海外市場に進出する韓国企業が増えている。
一挙に現地の人材、技術などを手中に収める「ブラウンフィールド投資」が新たな海外進出戦略として注目を集めているのだ。
これまでは海外に工場を建設し、現地法人を設立する「グリーンフィールド投資」が主流だった。
その背景には、韓国式のシステムを欧米、南米などの海外事業所に持ち込みやすいという点が大きかった。
公正取引委員会によると、韓国企業による海外でのM&Aの届け出件数は、昨年が17件で、2008年、09年の各9件を上回った。
また、 M&Aの規模は昨年が1兆9000億ウォン(約1350億円)に達し、08年の1039億ウォン(約74億円)、09年の3006億ウォン(約 214億円)に比べ急激に伸びた。
この数字は売上高や資産が2000億ウォン(約142億円)以上の韓国企業によるM&Aを集計したもので、それを下回る企業によるM&Aや単純な出資を加えると、実際の投資規模ははるかに多いと推定される。
今年1‐8月の海外でのM&A規模は、前年同期を既に超えた。
金融大手の未来アセットと衣料ブランドのフィラコリアによるコンソーシアムが6月、有名ゴルフ用品メーカーのアクシネットを12億3000万ドル(約940億円)で買収したのに続き、鉄鋼大手ポスコが7月に東南アジア最大のステンレスメーカーとして知られるタイのタイノックスを5000億ウォン(約356億円)で買収。
さらに、衣料大手のイーランドが7月、イタリアのかばんブランド、マンダリナダックを700億ウォン(約50億円)で、化粧品のアモーレパシフィックが今月、香水ブランドのアニック・グタールを300億ウォン(約 21億円)でそれぞれ買収した。
■時間を買うM&A
ブラウンフィールド方式の投資が増えているのは、金融危機以降、欧米で売りに出される有力企業が増えているためだ。
その上、昨年末現在で韓国の15大企業グループが保有する手持ち現金が56兆9000億ウォン(約 4兆円)に達するなど、潤沢な資金が下支えしている点も大きい。
ボストン・コンサルティング・グループのイ・ビョンナム・ソウル事務所長は
「ブラウンフィールド投資は、M&Aで市場と技術を短期間で確保できるため、結局時間を買うに等しい。
多くの企業が10年以内に数倍に成長するといった目標を定め、M&Aに積極的に取り組んでいる」
と述べた。
サムスン電子は最近、グーグルのモトローラ買収などIT産業の激動期を乗り切るため、ソフトウエア業者やヘルスケア業者のM&Aを目指している。
これまではオランダの次世代ディスプレー研究企業、リクアビスタ(今年1月)、ポーランドのアミカ家電工場(09年12月)などを買収した例を除き、グリーンフィールド投資が中心だったため、劇的な変化と言える。
ハンファ、暁星、ポスコなども海外でのM&Aに積極的だ。
ハンファは昨年9月、中国のソーラーファン・パワー・ホールディングス(江蘇林洋新能源)、同年10月には米太陽光技術業者の1366テク、今年1月には炭素ナノ素材分野の米ベンチャー企業、XGサイエンスの株式などの M&Aを、数カ月に1件のペースで進めた。
暁星も最近、エアバッグ世界首位の独グローバル・セーフティー・テキスタイルズ(GST)を買収し、タイヤコードに続き、世界首位の座を手にした。
だが、一方では急増する海外でのM&Aを懸念する声も存在する。
韓国企業は社員に忠誠を求め、一糸乱れぬ垂直的な文化をつくるのが特徴だ。
そうした企業文化はM&A対象企業からの人材流出を招きかねない。
産業研究院成長動力産業研究センターのチャン・ユンジョン博士は「現在は海外のM&Aとトレンドと見なし(多くの企業が)参入しているが、組織文化の違いがM&A後の問題として浮上する可能性がある。
合弁や共同開発など戦略提携を通じ、中長期的に合併・買収を検討するのが安全だ」と提言した。
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非常に危険が伴うように思う。
以前、中国の企業が韓国双竜自動車を買ったが、ついには出ていかざるを得なかった。
その逆のことが起こりうる可能性が大きい。
企業風土が違うというのは根本的なことだ。
ノウハウを培うためには時間がかかる。
ただ、目先の欲で、隣がやったからウチも、というわけなはゆかない。
焦りたい気持ちはわかるが、いまは静観の時だ。
足元がぐらついているのが、いまの韓国だ。
まずは、足元だ。
それを固めないことには無理だと思うが。
地道にやっていくべきだと思う。
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