絶対に自分の非を認めることのない傲慢さが取り柄の中国政府が頭を下げたという。
国内が不穏になっているということの証だろうか。
とすると、その影響は大きい。
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サーチナニュース 2011/08/17(水) 11:22
わが高速鉄道に知的財産権はない
詐称を認める=共産党機関紙
追突事故の発生以来、自主開発と主張する中国高速鉄道の知的財産権問題に対して常に疑問の声が上がっている。
中国共産党の機関紙である人民日報のウェブサイト・人民網は15日、
「わが国の高速鉄道には知的財産権を主張できる技術は存在しない」
と認め、今後はより安全性を重視すると主張した。
国際財経日報は同日、
「政府メディアがはじめて詐称を認めた」
と報じた。
中国鉄道部の王勇平報道官は7月7日、中国高速鉄道が新幹線技術の盗用ではないかとの疑問を完全に否定、中国高速鉄道の安全性と高い性能を示すと同時に、
「中国人が創造した奇跡」
として自主開発による知的財産権を主張していた。
また、鉄道部の何華武チーフエンジニアは、
「線路、車両、通信信号のどこにも何ら問題はない。
万が一の故障の際にもシステムが自動で安全措置をとる」
と繰り返していた。
しかし、北京―上海高速鉄道では開通から5日間で4回も故障が発生したほか、7月23日には杭州(浙江省)発・福州駅(福建省)行きの高速鉄道で多くの人命が奪われた追突事故が発生した。
人民網はエンジニアの発言を引用し、
「数年すれば国外の設計を元に、中国でもボギー・モーター・変圧器などの生産や、国外の核心部品を使ったコンバータや自動制御システムの組み立ては可能になるだろう。
しかし、先頭車両の設計基準・原理・車体を広くすることのリスクの有無などは分からない。
われわれにできるのは、塗料の塗り方や座席の素材の変更、室内装飾程度のことだ」
だと報じた。
さらに記事は、追突事故は中国の高速鉄道に警鐘を鳴らしただけでなく、中国政府主導の経済路線における飛躍的発展や安全技術より市場を優先する戦略の課題を浮き彫りにしたと指摘した。
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日テレニュース http://news24.jp/articles/2011/08/17/10188756.html
中国高速鉄道「世界最高速」の座明け渡す
最高で時速350キロで走っていた中国の高速鉄道が、速度を引き下げての運行を始めた。
国内外に向けて誇っていた「世界最高速」の座を自ら明け渡したことになる。
中国の高速鉄道は、40人が死亡した追突事故や車両のトラブルなどを受けて安全性への不安が高まる中、最高速度を350キロから300キロにまで下げて各地で運転を始めている。
また、最高速度を300キロとしていた北京~上海の「中国版新幹線」も、実際にはそれを超えるスピードで運転されていたが、16日からは最高速度300キロを守っての運転が行われている。
中国政府は、追突事故後の記者会見で問題発言を繰り返した鉄道省の報道官を解任するなど、世論の反発や不安を強く意識した対策を相次いで打ち出している。
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ロイター 2011年 08月 17日 09:22
中国鉄道省が報道官を解任、記者会見の発言に批判集中
[北京 16日 ロイター] 中国鉄道省は16日、40人の死者を出した高速鉄道事故の記者会見でその発言に批判が集まった王勇平報道官を解任した。
国営メディアが伝えた。
王報道官は事故翌日の会見で、現場に事故車両が埋められたことについて、救出作業を円滑化するためなどと説明。
また、会見場から立ち去ろうとして記者に追跡される場面もあり、鉄道省に対する市民らの怒りの中心的存在となっていた。
報道官の解任について、新華社は
「中国鉄道省は同省報道官を解任する決定を下した」
とのみ伝え、詳細については報じていない。
政府は事故翌日に上海鉄道局の幹部3人を更迭しているが、今回の解任は同省が事故で負ったイメージを払しょくしようとする狙いがあるとみられる。
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TBSニュース
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サーチナニュース 2011/08/18(木) 16:29
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0818&f=column_0818_016.shtml
【コラム】王曙光の中国産業論:
なぜ鉄道省は世論に完敗したのか
(執筆者:王曙光 拓殖大学教授)
やはり、高速鉄道として開通の条件が満たされていなかった。
8月上旬、筆者は京滬線(北京・上海間高速鉄道)沿線六つの駅に対する現地調査を行った。
駅舎内のサービス施設が完成したのは徐州東駅のみ。
天津西駅、済南西駅のような重要駅も含むほかの五駅は、待合室でミネラルウォーター1本すら買えないお粗末様だった。
切符売り場の長蛇の列(自動券売機が故障多発)、案内板のミス表示、自動改札機の開閉不能。
駅から一歩出たら、辺り一面に未完成の道路や付属施設の工事現場。
ほこりだらけで、見るに堪えない。
明らかに、京滬線高速鉄道の各駅は、「駅」としての機能がまだ備えられていない。
にもかかわらず、京滬線は無理に開通日を2011年6月30日に繰り上げてきたのは、なぜだろうか。
7月1日、中国共産党創立90周年の記念日。中国鉄道部が目指した開通目標の照準はこれである。
結局、安全性検証のための試行運転が足りず、基礎的な安全教育すら徹底されていない段階で、京滬線開通は元の計画より大幅な前倒しになったのである。
温州で発生した「7.23特大事故」でも、死傷者の最終確認がまだ完了せず、事故原因究明や再発防止に欠かせない証拠物がまだ現場に散乱するなか、鉄道部は早くも運行再開のための復旧命令を出した。
鉄道事故処理において最優先順位であるはずの「人命救助」と「原因究明・再発防止」が「7.23特大事故」の処理現場で無視されてしまったのは、周知の通りである。
なぜ、世界鉄道の常識が中国の高速鉄道で通用しなかったのか。
なぜ、犠牲者親族の沈痛の叫びが鉄道部役人の心を動かせなかったのか。
一連の非人道的・非常識的な対応ぶりに対し、国内外から「考えられない!」との批判が巻き起こっているが、筆者から見れば、これは「考えられる」ことなのである。
むろん、中国鉄道部的な「発想」、中国高速鉄道的な「常識」、といった物差しで計るならばの話だが。
中国鉄道部の「特異体質」は、世界でも例を見ない「準軍事組織」的特性に由来する。
意外と知られていないが、鉄道部の前身は、1949年1月に成立し、国共内戦時の共産党支配地域ての鉄道行政を担う中央軍事委員会鉄道部である。
同年10月の中華人民共和国創立とともに、中央人民政府鉄道部に改組されるが、その一部は「鉄道兵部隊」として、人民解放軍編成下に残った。
朝鮮戦争参戦、ベトナム戦争への秘密派遣、中ソ対峙時の「三線建設(対戦に備えた後方基地建設)」などでも、鉄道兵は重要な役割を果たしていた。
1984年に鉄道兵部隊が撤廃され、鉄道兵編成下の10個師団は鉄道部管轄下の各工程局に再編された。
実は現在でも、鉄道建設工事を一手に行う「中国鉄建」という巨大国有企業傘下の工程局の多くは元鉄道兵部隊だった。
いまも、中央省庁の中で唯一、政治部を設置している点から見ても、中国鉄道部は、戦時体制の延長とも言える準軍事的特徴を持つ特殊な存在である。
実際、市場経済の時代になっていても、体質的に変わっていない鉄道部にとっては、鉄道交通路の確保は最重要任務で、場合によっては「任務」が「人命」より優先されるものである。
輸送路確保を論功行賞の根拠とする旧鉄道兵の血脈を引き、「独立王国」と称される鉄道部のことだから、衆目を集める「7.23」事故への対応で人命軽視の体質が露呈したのも、「考えられる」ことではなかろうか。
鉄道部の「前科」を一つ紹介しよう。
2008年4月に山東省で準高速列車の脱線転覆事故が発生した。
死者72人、負傷者400人超の大惨事だったが、当時、事故現場で人命救助と復興工事が同時進行したため、運行再開が素早く達成できたものの、死傷者への対応で数々の後遺症を残した。
この間、救助の遅延で人的被害がどれだけ拡大したのか、事故処理の真相が外部に漏れなかったため、非人道的な「準軍事体制」がもたらした弊害を知りうる者が少なかった。
明らかに、今回の「7.23特大事故」でも鉄道部の対応方針は人命救助と復興工事の同時進行で、事故処理現場で鉄道部関係者は本能的に運行再開を自らの使命として力を尽くそうとしていた。
ところが、事態の発展は鉄道部役人の「想定」をはるかに超えていた。
政府による情報規制が効かないリアルタイムで、事故現場の出来事が携帯電話などによる動画・画像転送で瞬時に全世界向けに発せられ、さらに無数のブログが発信源となり、数億人にも上るネットユーザーが一斉に動き出した。
その上、国内外のメディアがネット世界の情報を瞬時にキャッチし、その情報を全世界に伝えた。
言わば、鉄道部は思わぬ「文明の利器」に急所を衝かれたのである。
ネットとブログの威力を前に、鉄道部は動かざるを得なかった。
8月4日の鉄道部幹部会議で、盛光祖鉄道部長は高速鉄道など鉄道建設工期の無断短縮を禁止する方針を明らかにした。
ところが、ネット世論がすぐさま反応した。
「工期短縮を決定したのは鉄道部ではないか!」、
「下部組織への責任転嫁だ!」。
世論の反発に動かされた温家宝首相は、8月11日の国務院常務会議で、高速鉄道の安全性点検、高速鉄道運転速度の減速など一連の安全確保措置を打ち出した。
鉄道部は、「7.23特大事故」をめぐる対応でネット世論に完敗した。
鉄道部が内部通達などで示した改善措置を見ると、人命救助と原因究明・再発防止を最重視する理念がようやく鉄道部内で浸透し始めたようである。
実際、海外メディアよりはるかに激しかった中国国内世論批判の力で、中国政府は高速鉄道の安全性に対し、かつてない慎重な姿勢を採るようになっている。
こうして、鉄道部の旧態依然の「常識」は、このネット世論の人民戦争に葬られてしまったのである。
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2011/08/28 18:23 【共同通信】
中国、「鉄道世界最速」仏に譲る 全土で減速
【北京共同】中国鉄道当局は28日、浙江省の高速鉄道事故を受け、安全性を高めるため、全土の路線で高速列車の速度を落とすことを柱とするダイヤ改正を行った。
16日に一部路線で行ったダイヤ改正に続く措置。
今回の改正で中国の高速鉄道の最高時速は350キロから300キロに減速。
最高320キロのフランスTGVを下回り、世界最速を譲った。
北京―天津間の高速鉄道が16日に350キロから300キロに減速したのに続き、上海―杭州間の高速鉄道も28日から同様に減速。
このほか北京―ハルビン間など他路線も最高時速を250キロから200キロにするなど速度を40~50キロ落とした。
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