2011年8月22日月曜日

ITの地殻変動:ボクはガラパゴス島に避難していた


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朝鮮日報 記事入力 : 2011/08/22 07:52:18

【社説】ハードウエア事業を手放した世界トップのPCメーカー

 世界トップのパソコンメーカー、ヒューレットパッカード(HP)がパソコン事業を手放し、分社化を検討していることが報じられた。
 HPの事業再編についてIT(情報技術)業界では「HPは将来、パソコン事業を完全に手放すのではないか」との見方さえある。
 これに加えてHPは、現在業績不振に陥っているスマートフォン(多機能携帯電話端末)事業とタブレットPC (タッチパネル式の表示・入力部を持つ携帯可能なパソコン)事業からの撤退もすでに発表した。
 これによってHPは、
①.ハード面では企業向けサーバー用コンピューターやネットワーク事業、また
②.ソフト面では企業向けのソフト開発といったビジネスサービス関連の事業
に専念するという。

 HPは2001年にコンパックを買収し、世界トップのパソコンメーカーとなった。
 一時は年間4000万台以上のパソコンを販売し、世界市場でのシェアも20%近くに達した。
 しかし今回、HPは自分たちの屋台骨である主力事業を手放す方向で動き出した。
 これは、
世界のIT業界で起こっている急激な地殻変動が、いかに規模の大きいかものであるかを示す
ケースとも言えるだろう。

 アップルのiPhoneとiPadの世界的な人気は、世界のIT業界の勢力図をすでに塗り替え、この流れの中で、携帯電話端末メーカーのトップだったノキアが没落し、モトローラがグーグルの傘下に入るという、以前は考えられなかった状況が起こっている。
 これまで長期にわたりパソコンはIT機器の代名詞だったが、
スマートフォンやタブレットPCなど、新たなネット端末にその座を奪われようとしているからだ。
 その結果HPだけでなく、デルやエイサーといった世界大手のPCメーカーは、どこも生存が脅かされる状況となってしまった。

 世界のIT業界の主導権は、今やアップル、グーグル、フェイスブックなど新たな強者の手に渡った。
 これは、
ハードウエアからソフトウエアへの主導権の移動を同時に意味する
もので、実はかなり以前から水面下では進行していた。
 韓国のIT業界はこれまでハード機器の製造にばかり取り組んできたため、明らかにこの地殻変動の波から乗り遅れてしまっている。
 韓国のIT各社も最近になってようやくソフト開発の重要性に気づき、その力を育てようとはしているが、道は非常に険しい。

 HPも数年前からM&A(合併・買収)によってソフトウエア企業に生まれ変わることを目指し、スマートフォンやタブレットPC向けに独自のOS(オペレーティングシステム)開発にも取り組んできたが、これといった結果を出すことはできなかった。
 そのため今回、
主力事業を手放してでも、ソフトウエア企業への生まれ変わりを目指すという決断
を下したのだ。

 サムスン電子の李健煕(イ・ゴンヒ)会長も「新経営」を宣言し、全社員に対して
「妻子以外は全て変えるように」
と命じた。
 韓国のIT産業も将来的に
生き残りを目指すには、このように全てを変えて完全に新しく生まれ変わる
という覚悟が必要だ。
 過去に経験してきた製造業の成功体験にいつまでもしがみつき、ソフト開発の人材を少しばかり増やす程度の対応では、押し寄せる変化に対応することは到底できないだろう。

 日本はガラパゴス島に避難
していたため、この地殻変動に巻き込まれないでなんとかやっていかれそうである。
 叩かれ続けた「ガラパゴス化」だが、それが日本を救ってくれるとは思いもよらなかった
だろう。
 今、世界は何が起こるかわからない。
 あの
東日本大震災をくらい、もうじき原発のすべてが停止するという可能性がある
というのに、ぐるりと世界を見渡してみても、
ただひたすら「円が高い」
ということは、日本にはそれだけの「ソフト&ハード」の資産の山が蓄積されているということであろうか。
 産業的にはNO.1でなくてもいいということだろう。
 「NO.3」で十分ということのようである。
 No.1では小回りがきかない。
 よって変化に対応できない。
 No.2はNo.1を目指せとというプレッシャーがある。
 No.3がいちばん居心地がよく、様々な分野の裾野開発ができるということだろうか。
 オタク的に好みにあったスタイルで、経済的利益にのみに特化することなく、より広い目で明日を見ていくことがこれからもっともっと必要になる。
 「経済第一主義」はくたばってしまうだろう。
 「経済、そんなものはいらんよ!」、
その潮流に日本は入りつつあるようである。




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